日記~今日の私はこんなです~

出不精の専業主婦がつける日記

ベランダのセミ

長い梅雨がようやく終わり、暑い夏がやって来た。

連日、快晴の日が続き、ついこの間までの苦労は何だったのかと思うほどに、干しても干してもバカみたいに乾いてゆく。。。洗濯物よ、どんとこい!!

 

ちょっと寝坊したある日の正午ごろ、遅めの洗濯物を干そうとベランダへ。

出てすぐに私の体は固まった。物干し竿の下に仰向けに寝そべり身体を震わせている1匹のセミがいるではないか・・・

仰向けになってしまった自身の体をなんとかうつ伏せに戻そうと、羽と足をバタバタさせて、必死にもがいている・・・

いつの日か聞いたことがある、虫は仰向けのままでは死んでしまうと・・・

セミが外の世界で生きられるのは7日間ほど。このセミももしかしたら死期が近いのかもしれない。。。

などど感傷に浸っている場合ではない!

バタついているということは完全に天に召されるまで、まだ数時間は要するだろう。

このままでは、洗濯物を干すことができない。早急に我が家のベランダからお引き取り願わねば!

しかし、私は虫が苦手である。そして、いまや24時間家にいる夫もまた虫が苦手である。そう、ウチの夫は頼りにならないのである。

それでもセミ追い払い作戦に協力してくれ、ここから夫婦2人とセミとの暑い、熱い戦いが始まった。

時刻はすでに正午、太陽が高く上った炎天下の中、潰したティッシュボックスの空箱で弾き飛ばす作戦を試みるも、手とセミの距離が近すぎることにビビり、上手くセミを弾き飛ばせない。もっとセミとの距離を確保できるアイテムが欲しいと夫からの要望もあり、クイックルワイパーの柄の先端に潰したティッシュボックスの空箱をガムテープでくっ付け、アイスホッケーのスティックのようなものを作り上げた。

これでセミとの距離も保たれた。しかし油断は禁物だ。相手は飛ぶ虫。こちらに向かって来られたらひとたまりもない。慎重に狙いを定めて、まずは最初の1弾き。

夫の払いによって、セミはうつ伏せになったが飛んでいかない・・・

・・・なぜだ!仰向けの窮地から救ってやったというのに!そのことに感謝して、さっさと飛び去ってくれ!!!

そう願いながら様子を見ていると、ゴロン・・・

えっ・・・?なんで・・・?なんでまた仰向けになっちゃうのー!!

そうか・・・もはや自分の力で飛び立てないほどにキミは・・・・・・・泣

 

んなことは知るか!是が非でも飛び立って頂かなくては、こちとら困るのだ!

 ちょっとトイレなどと部屋の中へ引っ込んだ夫に代わり、私がステッキを握る。

なんだ、あいつ。こんなときにトイレとか。つくづく頼りない男だ。

心の中で夫に悪態をつきながら、セミと対峙。

えいっ!まずは1発!

おおっ!再びうつ伏せにすることに成功。しかし、このままではいつ飛び立つか気が気でない。もう1度弾き飛ばして、隣のベランダへ押し込んでしまおうか・・・

そんな愚案を思いつき、セミのお尻をグイッと押した時・・・・・

んぎゃーーーーーーーー!!!!!!

 

セミは我が家のベランダから、どこまでも青く澄み渡る大空へ羽ばたいていった。

私の心臓はドクドクと早鐘のように鳴り打ち、両脇からは大量の冷や汗が噴き出していた。

ベランダでステッキを握りしめ茫然自失としていた私と、トイレから出てきたのんきな夫。

「トイレから出たら、(セミを追い払うの)また頑張ろうと思ってたのに、終わっちゃったの?!」

終わっちゃったの?じゃないわ!怖かったんだからな!こっちに向かって飛んでくるかと思って怖かったんだから!と、半泣き状態で恐怖を訴える私。

そんな私の功績を称え、怖かったねと慰めてくれる夫。

その間抜け面は腹立たしいが、居てくれるだけで頼りになっている。